自己破産の手続き中の浪費は無効になるのか?
自己破産の手続き中は、きちんと借金が免責になるのかとヒヤヒヤものです。
何か不具合がないか?
書類にミスはないのか?
弁護士先生はきちんと対応してくれているのか?
など、なにかと心配が募ってしまいます。
特に、自己破産に至るまでの生活では、過剰なショッピングローンやリボ払いを組んだり、借金を重ねてギャンブルをして負けてばかり!
こういった浪費を繰り返してきた人は、不安がよぎっても仕方ありません。
自己破産の申請中の人には今更の話になりますが、弁護士に依頼した後の生活としては、可能な限り浪費を抑えて、おとなしくしていた方が良いものなのでしょうか?
もちろん、借金に困っているはずですから、極力おとなしい生活をすることが望ましいのですが、浪費の判断って人それぞれだと思います。
ファミレスで食事するのは浪費になるでしょうか?
新しく服を買うのは浪費でしょうか?
これらの支出が浪費という判断は、人それぞれで非常に決めつけるのが難しい問題です。
そして、裁判所はこういった行動をどうゆうふうに捉えるのでしょうか?
仮に自己破産の手続き中にこういった浪費と判断されることが裁判所や破産管財人に見つかったとしたら、免責が無効になってしまうことはあるのでしょうか?
今回の記事では自己破産の手続き中の浪費についてまとめてみました。
基本的に浪費で免責が無効になったりすることはありません
自己破産における免責許可の判断においては、過剰な浪費行動やギャンブルは免責不許可事由となっています。
ただし、この「免責不許可事由」というのは、裁判官が免責に許可を与えない理由となるというだけで、その理由があったからと言って必ず不許可にしなければならない、というものではありません。
多重債務者が自己破産を申し立てても、その借金理由として、過剰な浪費行為があった場合には、債務の免責を無効にするのが、免責不許可事由です。
度を超した浪費が認められた場合には、免責許可決定自体が下されないことや、免責許可が無効になる可能性があるということです。
ですが、これらの免責不許可事由は絶対ではありません。
実際の免責許可の判断としては、裁判官の裁量に負うところが非常に大きいです。
裁判所で免責許可が無効になるかどうか、問題として取り上げられるのは、浪費行為やギャンブルそのものではありません。
問題とされるのは、これらの浪費行動やギャンブルによって債務超過に陥るほどの過分の『借金』をしてしまったことです。
極端な話、どれだけ浪費行動やギャンブルを行っていたとしても、それを賄えるだけの十分な収入がある場合には、これらの行為が問題とはされません。
つまりは、『借金』してまで浪費していたらアウトってことです!
したがって、現在ある自己破産手続きの対象となる借金以外に、更に浪費を重ねたりギャンブルをしない限りにおいては、免責許可を無効にする性質のものではないということです。
ただし、過剰な浪費行為を慢性的に繰り返してきた人は、免責許可決定が出た以降であっても、しばらくは気を緩めて浪費に走らないことは肝に銘じてください。
自己破産の申し立て後の収入は返済義務がありません
しかし、浪費をするほどの金持ちなのに、自己破産手続きを開始したとすれば、債権者目線では、「はあ?浪費できるほどの金持ちが借金踏み倒すの?ふざけるな!」ってなりますよね?
そして、申立て後であっても、収入が発生しているならば、債権者から「1円でも返済しろ!」と、迫られるのでは?という恐怖心を持っている債務者は多いでしょう。
しかし、自己破産の申し立て後の収入は自由財産として扱われるので、これらの心配はいりませんし、免責が無効になることもありません。
その理由は、申し立て後に取得した給与等の収入は「新得所得」と呼ばれ、破産手続き上は「自由財産」として扱われるからです。
自由財産の意味は、破産者が自由に使うことを認められている財産というものです。
つまり、これらの自由財産に対しては、債権者が借金返済を請求してきたとしても、破産手続き開始決定後であれば、破産者に対するすべての差押えは禁止となり、無効なのです。
つまり、自己破産の申し立て後に得た収入は、自由に使えるものだと覚えておいてください。
要するに、仮に浪費があったとしても、破産手続きが無効になることも、免責許可が無効になることもないわけです。
自己破産の手続き中の破産管財人には要注意!!
自己破産の手続き中は、裁判所から監視されていると思いこんでいる人がたまにいますが、普通ならあるわけもないので、そこまでナーバスになって浪費を気にすることもないでしょう。
当然のことながら、
破産申立人が浪費してないか?
どういうお金の使い方をしてるか?
こんなことは裁判所が調べることではないのです。
ただし、一点だけ気を付けなくてはならないケースもあります。
それは、裁判所に選任された破産管財人が付く場合です。
この場合においてだけは、破産管財人が抜き打ちで自宅を訪問して来たり、郵便物をチェックされたりといった事態も起こり得るからです。
その際に、ひょんなことから浪費がバレてしまう恐れも出てきます。
実際には、そんな確率は非常に低いのですが、0ではないので気をつけるべきでしょう。
こんなことから著しい浪費行動が原因で、免責許可までの期間が伸ばされたりする可能性は低いですが、こんな浪費行動が原因で、免責許可が無効になったら泣くに泣けません。
基本的には無いことですが、破産管財人には注意していたほうが無難です。
まとめ
以上で見てきたとおり、自己破産手続き中に浪費行動があったとしても、それを理由に免責許可が無効になる確率は低いことがわかりました。
まずは一安心ですよね。
しかし、せっかく借金の免責許可を得て、借金地獄から解放されて人生をやり直すチャンスを与えられているのだから、同じ過ちは繰り返してはいけません。
浪費行動が原因で、債務超過に陥ってしまった人は、深く反省をして、今後は浪費は慎むべきでしょう。
自己破産の制度は、国が借金地獄の人に対して借金を免責にして人生をリセットさせてくれる制度です。
もちろん、国の制度上、メリットやデメリットは存在しますが、借金がチャラになるのでありがたい制度と思いませんか?
<自己破産のリスクとデメリットを理解して不安のない生活を!>
そう考えると、少しは浪費癖のある人は考え直して見るべきかもしれませんね。