自己破産以外の方法で債務整理はどのようなものがあるか?
そういった場合には、毎月返済の義務がある奨学金の支払いはたちまち滞ってしまい、債務超過となってしまいます。
このような債務超過に陥ってしまうと、自力で借金を返していくことは困難な状況に落ちてしまいますから、債務整理という手段を講じなければ泥沼から脱出はできません。
自己破産は、裁判所に自己破産申請をして手続きを進めて、免責許可を得て借金をチャラにしてもらう、という方法です。
確かにこの自己破産という解決方法は強力であり、夜も眠れないほどの借金地獄から抜け出すためには一番の方法だと思います。
しかし、債務者の中には、まだ借金による困窮度がそこまで深刻でもなく、マイホームを購入して住宅ローンを支払っている最中で、家を手放したくない!という人だっているわけです。
家だけでなく、自動車ローンの残っている車も手放したくない、保険などの金融資産も没収されたくはない、といった希望を持っている債務者もいるでしょう。
このような、何かを失いたくない、守りたいと望む債務者にとっては、自己破産以外の方法を先に検討する方が向いています。
自己破産は、多額の借金をチャラにしてもらえる代わりに、債権者に対して換価処分できるような財産(資産)があれば、そのすべてが没収されてしまうからです。
まあ、債権者から見れば、当たり前の話ですが・・・。
債権者(借金の貸し手)にとっては、債務者に自己破産されるということは、これすなわち、合法的に借金を踏み倒される、ということに他なりません。
そのため、取れる財産があれば少しでもお金に換えて返済に充ててもらいたいというのは当然の理屈なわけです。
ですから、持ち家をはじめ、ある一定以上の価値のある財産(資産)を持っている自己破産申立人の場合には、裁判所が選任した破産管財人が、財産(資産)を差し押さえて没収してしまうのです。
このような例はほんの一例ですが、債務者によっては自己破産以外の方法を選択するかで、その後の人生が変わってきてしまいます。
ここでは、以下に、自己破産以外の方法について詳しく掘り下げて考えていきたいと思います。
自己破産以外の方法とは?
世間的には、多重債務者は自己破産以外の方法はあまり認知されていませんが、実は債務整理の方法は他にも幾つかあります。
自己破産以外の方法には、任意整理、特定調停、個人再生などがあります。
以下にざっくりと、それぞれの債務整理の方法の特徴やメリットなどを列挙していきたいと思います。
任意整理
・裁判所を通さず、債権者と債務者とがお互いの合意のもとに債務の整理を行う。
・比較的少ない借金総額の場合に行う。
・連帯保証人がいる場合(迷惑をかけたくない場合)に行う。
・返済の意思があることが大前提。
・あくまで交渉によって決めごとを行うので、債権者側に有利な取り決めをする弁護士などがいるため注意が必要。
特定調停
・簡易裁判所に申立てを行う。
・あくまでも双方の話し合いによって行われる調停である。
・確定している債務に対し3年間(最長5年)をメドとして、延滞や滞納など無理のない返済計画を立てなくてはならない。
・調停調書は確定判決と同等の効力を持つので、返済を滞納すれば、強制執行(差し押さえ)を敢行できるので、注意が必要。
個人再生
・「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」とがある。
・住宅ローン等を除いた無担保債務総額が5000万円以下であること。
・再生計画案を提出する義務があり、認可されれば、これに沿って返済していき、残りの債務は免除される。
・小規模個人再生においては、書面決議において債権者数及び債権総額の50%以上の異議があった場合には可決されずに、債務は圧縮されないにで注意が必要。
・自己破産以外の方法で、住宅ローンだけを残す手段としてはもっともポピュラーな債務整理。
自己破産
・債務の支払い不能状況にある人が、破産宣告を受けて破産者になることで、免責許可を受けることができる。
・免責後は、借金も無いが、財産も無いという状態での再スタートとなる。
・借金理由に免責不許可事由が該当した場合には、免責許可が受けられず借金はそのまま残ってしまうので注意が必要。
自己破産以外の方法を選択する代表的なメリットとは?
では、自己破産以外の方法を選択するとき、自己破産と比べてメリットとなる部分とは何でしょうか??
自己破産以外の方法の最大のメリットとは、『財産を没収されないこと!』です。
自己破産を申し立てると、その破産手続きを開始するに当たって、裁判所は、「同時廃止」と「管財事件」とに振り分けます。
同時廃止とは、破産申立人が特に財産もなくそのため、破産手続きの開始とともに、債権者のへの財産の配当も同時に終了すると意味から同時廃止と呼ばれる事件です。
自己破産を申し立てる債務者のほとんどがこの同時廃止のケースです。
しかし、破産申立人に持ち家などの財産(資産)がある場合には、管財事件に振り分けられます。
管財事件とは、裁判所が選任した破産管財人が、破産申立人の財産を没収して、換価処分し、債権者に配当(分配)するという破産手続きのプロセスがメインとなる事件です。
なので、持ち家などの資産がある人は、自己破産を申し立てると、全ての財産を差し押さえられてしまうのです。
ですから、住宅ローンを組んでマイホームを購入している場合、家族のためにも手放したくはない、と考える人の場合には、自己破産以外の方法が適しています。
処分されたくない財産がある債務者には、自己破産以外の方法である、任意整理・特定調停・個人再生などの債務整理が適しています。
特に、住宅ローンを支払い中の債務者の場合には、住宅ローン以外の債務を大幅に減額してもらえる個人再生が最も適していてメリットが大きいと言えるでしょう。
自己破産以外の方法で債務整理すれば制約が少ない
自己破産は、債務整理の最終手段と言われていることもあり、免責許可を得られれば借金がなくなる、という非常に大きなメリットを持っています。
反面、自己破産は、他の3つの債務整理方法より制約の大きな手段であるとも言えます。
その大きな制約の一つが、「資格制限」です。
自己破産を申し立てすると、破産手続きを開始して、免責許可決定を受けられるまでの一定の期間は、主に「士業」と呼ばれる資格職には就けない、という職業制約を受けてしまいます。
その点、自己破産以外の方法である、任意整理や特定調停、個人再生などの債務整理では、そのような職業的制約をまったく受けません。
どのような仕事に就いていようが自由ですし、その期間の仕事の制約も受けることはありません。
このような側面を見ても、自己破産以外の方法は制約が少ないことがわかります。
もちろん、自己破産以外の方法では、借金額の上限が設けられている場合もあり、一概に自己破産以外の方法にすべきという訳にはいきません。
まとめ
以上、自己破産以外の方法と、自己破産のメリット、デメリットなどを比較してどの債務整理を行えばよいかを考察してきました。
総括すれば、債務者の状態に応じて、自己破産以外の方法も検討することが大切だと思われます。
債務整理に弱い専門家の場合、自己破産以外の方法を検討するのを面倒臭がってしない場合などもあると聞きます。
こういった専門家に依頼しないように一度無料診断などで反応を見てみるのも良いのではないでしょうか?