自己破産から復権することは可能??
自己破産を申し立てると、その自己破産手続き期間は、ある種の職種などに就いている債務者は、その職業に従事できなくなってしまいます。
ここでは、以下において、このような状態から復帰、つまり復権できるのか?否か?について具体的に探っていきたいと思います。
自己破産からの復権とは??
多重債務などでもう自力での借金返済がどうしようもないと判断した場合には、多くの債務者は自己破産の申し立てを行います。
この、裁判所に自己破産を申し立てて、破産手続きが行われる期間中、この自己破産申立人の法律上扱いは、破産者になります。
そして、この自己破産申立人である債務者が、ある種の特定の職業に従事している場合には、法律によって、制限を受け、その職業に従事できなくなってしまいます。
具体的に挙げれば、これらの職業というのは、弁護士や税理士、公認会計士や行政書士、警備員に至るまで、わりと多岐の職種にまたがりこの規制を受けてしまいます。
一般に、国家資格などを有する資格職が多いので、自己破産による「資格制限」とも呼ばれます。
よって、これらの職種に従事している債務者は、自己破産を申し立てて、破産手続きが終了するまでの期間は、これらの職種を継続して働くことはできなくなります。
自己破産手続きが終結し、無事自己破産が成立して免責許可を受けられれば、この資格制限は解除されます。
このことを、復権といいます。
自己破産してから復権する時期とは??
法律的な破産者の扱いと、一般的なイメージの破産者の扱いには、実際に大きなズレがあるようです。
というのも、法律上は、自己破産申立人が「破産者」として扱われるのは、裁判所に自己破産を申し立てて、自己破産手続きが完了して免責許可を受けるまでの期間だけなのです。
つまり、自己破産が成立した時点で、法律的にはその人はもう破産者ではないわけです。
ですので、自己破産手続き期間は、資格制限を受けて仕事に従事することが禁じられていた多くの職業(主に士業)に関しても、自己破産が成立し、免責許可が受けられた段階でこれらの制限はなくなります。
元通り職業復帰できる、つまり、復権できるのはこの時期が普通です。
「当然復権」と「申し立てによる復権」について
前述した復権のタイミングは、ほとんどの自己破産案件の場合にはあてはまります。
そして、これらのように、自己破産手続きが終結して免責許可決定が下りて、オートマティカリーに資格制限がとけて職業復帰できる状態の復権のことを「当然復権」といいます。
自己破産案件のほとんどのケースでは、この自己破産手続きの終了とともに、自動的に権利が復活する「当然復権」が該当します。
一方、このように自動的に権利が復活しない(当然復権できない)ケースというのも例外的にあります。
それは、どういったケースかといえば、自己破産手続きが終了しても、残念ながら免責許可決定を受けられなかったケースです。
この場合には、「申し立てによる復権」というものを行う必要があります。
文字通り、債務者自ら裁判所に復権させてほしいと申し立てる復権です。
このようなケースは、一般的に自己破産成立時には免責許可を受けることはできなかったけど、その後、頑張って、数年で借金を完済した、とか、消滅時効によって借金が亡くなった、などがあります。
とにかく免責許可が下りなかったために制限を受けたままで、元の仕事に就けなかったけど、借金が数年でなくなったので1日も早く元の職業に復帰したいという場合に行うのが、「申し立てによる復権」です。
追加しておくと、申し立てしなくても、一律10年が経過すれば、この資格制限は消滅し、復権することはできます。
当然復権には特別な手続きはいらない
前述したように、通常であれば、自己破産手続きが終了すれば免責許可決定も同時に受けることができるので、自動的に職種の制限も消滅し、当然復権できます。
この当然復権は、免責許可決定を受けると付随して行われるものなので、この復権のための特別な手続きは何も必要ありません。
また、免責許可を受けた人が、自分が確実に復権できているかどうかを確認する通知なども特にありません。
どうしても、それを確認したければ、役所へ行き、「身分証明書」を取得してください。
その身分証明書に、「破産宣告の通知を受けていない。」と明記されていれば、復権済みだという証明です。
勘違いしがちな復権によるメリットについて
ここで、世間的によく誤解されがちな復権に関するメリットについて触れておきます。
「復権」という語感からか、免責許可を受けて復権すると、一般人と同等になり、「すべての権利が復活する」と勘違いしている人も多いようです。
しかし、実際には復権によって、権利が復活するのは、職業(主に士業)に関する制限が解除されて、元の職業に就けるというメリットだけです。
よって、一般的によく誤解されがちな「復権したから、もうブラックリスト扱いじゃないからクレジットカードも使える!」というものとは違うのです。
自己破産すれば、ぶっちゃけ合法的に借金を踏み倒した人として、銀行はじめ金融機関の加盟している信用情報機関においては、最低でも5年~10年の間は、「金融事故者」として記録されます。
いわゆるブラックリスト扱いですね。
当然のことながらこの5年~10年の期間は、免責許可を受けた人は、クレジットカードを作ることも、ローンを組むこともキャッシングでお金を借りることもできません。
信用情報機関でブラックリストだからです。
そして、この信用情報機関に記録される金融事故歴は、復権したからといって消えるわけではありません。
信用情報機関の記録と、法律上の復権の話はまったく別次元の話です。
この点は勘違いしないように気をつけてください。
まとめ
自己破産手続き期間中の主に士業などの資格制限、職業制限と、免責許可後の復権について色々と掘り下げて考えてみました。
自己破産を申し立ててから、破産手続きを進め、自己破産成立と免責許可を受けるまでは、だいたい、半年~1年ぐらいかかるのが普通です。
この期間、資格制限を受けてその職業に従事できない職種の人にとってはかなり重大な問題ですよね。
ですが、その期間をなんとか耐え忍べば、法律的には破産者ではなくなり、無事に復権を果たしてまた元の職業に就くことができるようになるわけです。
なので、これらの資格制限に該当する職業に就いている債務者は、自己破産を裁判所に申し立てる前に、復権できるタイミングまでの期間、どうやって凌いでいくのかを前もって考えておきましょう!