自己破産手続きで必要な陳述書の作成ポイント
様々な理由から方々に借金をしてそれが膨らみ、遂には自分の力では借金返済が不可能になってしまうと、通常は自己破産などの法的な借金の解決策を採ります。
この自己破産の申立ておよび自己破産手続きは、債務者の住民票のある管轄の地方裁判所で行います。
その際に、自己破産申立書を自己破産の申立人は陳述書を作成し、裁判所に提出しなければなりません。
この自己破産申立書には、なぜ自己破産に至ったのかなどの経緯を時系列ごとにまとめて説明する「陳述書」が設けられています。
自己破産に至った経緯を説明する陳述書においては、そもそもいつから借金をするに至ったのか?その背景にある事情等を含めて、解説しなくてはなりません。
どの債務者であっても、自己破産を初めて申し立てる人にとって、この陳述書には何をどうやって書いていけば良いのか悩むところだと思います。
通常、どこの地方裁判所においても、この自己破産申立書に設けられている陳述書の記載要綱のようなものはないようです。
だからこそ、この陳述書の書き方や、何をどうやって説明していけば良いのか?と悩んでしまうところだと思われます。
ここでは、以下において、自己破産申立書の陳述書の作文の作成の仕方や、どう書き進めていくのが問題ないのか?などを中心に考察を進めていきたいと思います。
自己破産の陳述書はいわゆる『人生の作文』
そもそも、債務者が管轄の地方裁判所に自己破産を申し立てる際に作成し提出する自己破産申立書に設けられている陳述書にはどのような意味があるのでしょうか??
自己破産の際に、裁判所に提出する陳述書は、ざっくり言えば次のような目的の為に作成します。
すなわち、裁判所及び債権者たちに、何故借金をせざるを得なかったか、そして、なぜ返しきれずに自己破産を選択せざるを得なかったか、などを理解してもらうために作成するのです。
これは、かなり大事ですよね。
情状酌量というのは大げさかもしれませんが、自己破産の背景にあるやむにやまれない事情というものを裁判所や債権者に理解してもらえるかどうか?はその後の自己破産手続きを進めていく上で大事です。
幸いなことに、元来記載要領などは無い陳述書でしたが、最近では、ほとんどの地方裁判所において、定型化した書式の陳述書が置かれているようです。
これは、予め必要事項は網羅されたものが定型化された陳述書と考えて良いと思います。
この定型化された陳述書においては、必要事項に多種の選択肢があらかじめ用意されていて、その該当する選択肢にチェックを入れれば済む仕様になっているようです。
しかし、気を付けなくてはいけないのは、このような定型化された陳述書を自動的に漫然と記入してしまえば、「工夫が足りない」と見なされしまいます。
では、どういった点に気を付けて陳述書を作成していくべきなのでしょうか?
陳述書の作成ポイントとは??
さて、ここからは具体的に、ではどのような手順で陳述書を作成していくのが適正なのかを挙げていきたいと思います。
まずはじめに、『最初に借金をした理由』を書く
これはとても重要であり、必ずまずはじめにこの「最初に借金をした理由と経緯」をわかり易く詳細に書いて説明してください。
「そもそも、なぜ借金をしなくてはならなかったのか?」-。
これは重要であり、もしも、このはじめて借金を作ったきっかけがギャンブルや浪費であった場合には、その後の免責許可に影響してきます。
そうでなければ、生活苦や低賃金で経済状態が圧迫されて、借金して凌がねばならなかったということが裁判所にも伝わるように、具体的な苦しい収支状況なども記載すると良いです。
また、この最初に作った借金を完済できなかった事情も、できるだけ具体的に説明しておくと良いでしょう。
二度目の借金をしてしまったキッカケと理由などを説明する
次に陳述書に書いて説明しなくてはならないのは、最初に借りた借金を完済していないのに、何故二度目の借金をしてしまったのか?ということを説明して理解を得なくてはなりません。
そして二度目以降の借金についても、順次正確に、時系列をはっきりさせてどういった経緯と事情で借金をしなくてはならなかったかを、裁判所に伝わるように説明すべきです。
結局、債務超過に陥ってしまった経緯とその理由、そして自己破産を選択した理由などを説明
結局は多重債務に陥ってしまった経緯の解説とその反省を次に書くべきです。
そして、自己破産の申し立て以外に解決策がなくなったことの合理的な説明と、反省及び債権者へ多大な迷惑をかける反省と謝罪の心境を率直に書くべきでしょう。
今後の生活改善意欲と抱負で締める
そして最後は、真面目に更生して二度と借金地獄に陥らない、このような自己破産という多くの方面に多大な迷惑をかけることはしないように真摯に生きていきたい、等の決意と反省で締めます。
そして、最後の文末は必ず、『以上のとおりです』としてください。
これが、大まかな陳述書作成のポイントとなる流れです。
文章能力に自信がない人は専門家に依頼して!
陳述書というのは、ざっくり言えば、それに目を通したときの裁判所の心証として「ああ、これなら自己破産を申し立てても仕方がないな」と理解と納得を呼ぶものでなくてはなりません。
なので、陳述書は明確であり、簡潔でわかりやすく、読み手に共感を喚起するものが望ましいわけです。
陳述書の内容が不明確なものであったり、虚偽の記載がある不審な内容のものであれば、裁判官の心証は悪くなりますし、自己破産の申し立てに至った経緯自体も理解されません。
自分が裁判官になったつもりで、どういう陳述書なら理解が得られるのか考えてみるべきでしょう。
そこに矛盾や見え透いた虚偽の記載があったら、うんざりして免責許可を与える気は失せてくるのと思います。
逆に陳述書が事情を説明するのに、非常にうまく書かれていたとしたら、読み手の裁判官は自己破産手続きの開始時点から理解と共感を持ってくれるので、スムースに事が運びやすくなります。
このように、陳述書の出来はとても重要なんです。
もしも、陳述書の作成に関して文章能力にどうしても自身が無いような債務者は、専門家に依頼する方が得策だと思います。
まとめ
自己破産を申し立てる際に、裁判所に提出が義務付けられている陳述書の重要性と、その作成の仕方の良し悪しについて考察してきました。
自己破産の申立人である債務者にとって陳述書は、キチンと書ければ裁判所に自己破産をしなければいけない事情を理解してもらえる「人生のカルテ」だとも思って良いでしょう。
逆に、ウソが混ざっていたり、不正確、不明瞭であったりすれば逆効果で、裁判官から不信感を持たれて免責許可にも悪影響を及ぼします。
陳述書を作成していくポイントは自分が裁判官(読み手)になったつもりで、わかりやすく誠実に書いていくという点でしょう。