自己破産を依頼する時の弁護士費用の相場とは?
低所得のため生活が苦しいなどの理由から、あちこちから借金をしてしまい、それが積もり積もって債務超過になってしまう人は後を絶ちません。
このような多重債務者は、その内に月々の利息分でさえ支払うことが困難になってしまい、借金地獄に落ちてしまいます。
そうなるともはや自力で返済していくことは困難で、この借金問題を解決し、借金地獄の泥沼から脱出しようとするなら、債務整理で借金を整理するしかありません。
中でも、債務整理の最終手段と呼ばれる自己破産は、免責許可といって、合法的に借金をチャラにできるメリットが受けられるために、もうにっちもさっちもいかないほど借金を抱えた多重債務者にはうってつけの解決方法です。
自己破産によるメリットとデメリットは<トップページ>で詳しく紹介しています。
この自己破産、自分の住民票のある管轄の地方裁判所に、自己破産の申し立てを行い、自己破産手続くを進行していくわけですが、法律の素人である債務者自身でやるにはちとハードルが高いと言わざるを得ません。
なぜなら、種類を揃えたり、作成したり、裁判所とやり取りしたりといったプロセスがいちいち法律的知識を要し、尚且つ煩雑だからです。
ただでさえ、煩雑なうえに、仕事をしながら自己破産の手続きをしなければならないとなると、相当に時間的にもキツく、困難になるからです。
しかも、やり方をしくじってしまうと、やっと自己破産宣告を受けられて、自己破産はなんとか成立しても、肝心の免責許可が受けられないという最悪の結果も、素人がやる場合には考えられるのです。
こういったミスを防止し、速やかに確実に自己破産の手続きを進めていくためにも、通常は、法律の専門家である弁護士に、自己破産を依頼するのが一般的です。
でも、借金地獄で苦しんでいる多重債務者にとっては、弁護士に自己破産を依頼するうえで、心配な点があります。
それは、弁護士費用にいったいくらかかってしまうのか?という懸念です。
弁護士費用は、数年前の法改正によって現在自由化されています。
つまり、法律事務所ごとに、いくらの弁護士費用を設定しようが自由なわけです。
基準が取り払われているので、それぞれ法律事務所ごとに得意な分野の案件実績などを前面に出して、その方面に特化したメリハリをつけた内容であったり弁護士費用であったりを設定する事務所が増えています。
そんな中でも、弁護士費用のいわゆる相場というようなものもあります。
決まりはないのですが、たいていの弁護士費用とは、「着手金+成功報酬」という内訳になっていて、それぞれに相場の料金というものはうっすらとあるわけです。
ここでは、以下において、多重債務者が自己破産を弁護士に依頼する際の、弁護士費用の相場や、法テラスの体系などについて少し掘り下げて考察していきたいと思います。
法テラスの弁護士の報酬基準(相場)を事前に調べておく
法テラスというのは国の機関であり、「司法支援センター」のことです。
自己破産を実際に考えている多重債務者というのは、借金まみれでクビも回らないから自己破産を検討するわけです。
なので、自己破産を法律のプロである弁護士に依頼するにも、その弁護士費用を支払う経済的な余裕など微塵もない、という人が大半です。
そんな経済的に困窮した人で弁護士費用も用意できないような人でも、弁護士に依頼することができるような救済システムが法テラスでもあるわけです。
法テラスは、生活に困窮した貧困の方でも法律的支援を受けられるようにという趣旨で、国が設置した独立行政法人です。
一般的に、自己破産を弁護士に依頼した場合の、弁護士費用の相場というのは、40~60万円です。
しかし、自己破産を考えている多重債務者は、借金まみれでこんな相場である高額の弁護士費用など用意できません。
このような経済的に切迫しているけど、弁護士に自己破産を依頼したい、という多重債務者を救うのが法テラスの「費用立替制度」なのです。
法テラスには、費用立替制度というのがあり、これを利用すれば、自己破産の申し立て時にまったくお金が無くても、弁護士費用を法テラスが立て替えて支払ってくれるので安心です。
法テラスの費用立替制度は、弁護士費用だけでなく、裁判所に支払う予納金も20万円までなら立替してくれます。
そして依頼者である債務者は、自己破産が成立し、免責許可を受けたあとで、毎月5000~10000円程度の無理のない額を約2年間かけて返済していけば良いシステムとなっています。
この法テラスの民事法律扶助では、弁護士費用は日本では考えられる限り最低基準額に抑えられています。
ですから、この法テラスの弁護士費用は、一般的な法律事務所の相場であるところの弁護士費用とは大きく違って、低料金になっているのです。
なので、法テラスの弁護士費用はボーダーと捉えるべきで、これを基準に相場だと考えないようにしましょう。
法テラスの代理援助および費用立替制度
法テラスを利用するメリットとは、弁護士費用や裁判所への予納金を立替えてくれるということのみならず、法テラスが紹介する弁護士に自己破産の代理人の依頼もできるという点です。
このシステムは、法テラスが弁護士を用意するところまでがセットとなっているので、代理援助とよばれています。
代理援助を利用するためには、「資力要件を満たしている」「勝訴の見込みがないとはいえない」「民事法律扶助の趣旨に適していること」の条件が必要です。
これらを審査したうえ、審査の結果に特に問題が無い場合には、法テラス立会いのもと、弁護士との委任契約が締結されます。
当然、これによって、弁護士費用の立て替えも行われます。
また、法テラスを利用するほど経済的に切迫していない自己破産を考えている債務者の場合には、一般の法律事務所をサイトなどで見て、弁護士への依頼を決めるわけです。
この際には、当然弁護士費用が相場より高いか?安いか?という点が、その法律事務所を選ぶ大きなポイントのひとつになるわけです。
しかしここで気を付けなくてはならない注意点があります。
それは、サイトに相場より格安で、「弁護士費用=●●万円」と出ている場合には、サイトの隅々までよく読んでチェックしてくださいということです。
というのも、往々にしてあるパターンとして、下の方に小さく「※ただし、債権者1社のみの料金」とかとんでもない注釈が入っていることが多いからです。
だいたい、考えてもみてください。
自己破産を考えるほどの債務に苦しんでいる人というのは、たいてい多重債務者ですよ。
債権者が1社で自己破産は考えません。
普通に考えてお金を借りてる先は10社前後はあるはずです。
そして、こういった場合には、これまた下の方に小さい文字で「※2社以降は、1社につき◯万円を加算した料金とする」などという注釈が入っていたりします。
この方式だと、表の債権者1社の場合だけの相場より格安な料金に釣られて依頼しても、実際は、10社以上債権者があるので、トータルでは逆に相場より高い割高の弁護士費用を支払う羽目になるというパターンも多いのです。
くれぐれも注意と警戒は怠らないでください。
弁護士費用相場を基準に考えることも大事ですが、結局は自分に合った事務所ではないでしょうか?
とはいえ、いくら相場より弁護士費用が安いからと言っても、こちらの相談に親身になってくれなかったり、要求しても仕事が遅かったり、中には怠慢だったりする弁護士もいます。
ですから、相場より弁護士費用が高いか?安いか?だけのモノサシで、依頼する弁護士を決めるべきではないということは頭の片隅に置いておいて下さい。
法テラスを利用するしかない経済的に究極に切迫した債務者は別ですが、一般の法律事務所を利用する債務者は、まずは、弁護士さんの人間性や信頼できるかどうかを基準に考えた方が良いでしょう。
まとめ
多重債務者が自己破産する際の様々な選択肢について考察してきました。
いくら経済的に困窮してお金が無くても、法テラスのような救済センターもありますので、まずは、法テラスの無料診断を受けてみましょう!