自己破産したら、残クレで乗っている車はどうなるのか?
最近、テレビCMなどで残価設定型クレジット・残価設定型ローン・カーリース・マイカーリースなどいろいろな購入方法の宣伝がされています。
自動車ディーラーは今までの主流だったローン販売とは違い、手軽に車を乗る方法を推奨しており、新車への乗り換えをスムーズに提案できるように工夫をしています。
このように新車ディーラーや中古車販売店でも推奨されている新しい車の利用方法として話題のある「残クレ」を組んでいる人が、自己破産した場合に乗っている車はどうなるのでしょうか?
もちろん新車から乗っている人はその車に対して思い入れもあると思いますし、手放したくないという気持ちはあると思います。
この記事では、自己破産をした場合に残クレを組んで乗っている車はどうなるのか?を検証していきたいと思います。
残クレってそもそも何?
新しい車の利用方法として最近話題になっている「残クレ」。
「残クレ」は、正式名称が「残価設定型クレジット」といい、クレジット払いの支払終了時の車両本体の買取保証額をあらかじめ差し引いた金額を、月々の支払額として算定し、残クレ終了時に車を返却するか、残価分を支払って乗り続けるかを選択できる料金体系をいいます。
残クレで購入するメリットは、「現金一括払い」や「ローン購入」と違い、まとまったお金を用意する必要がないことと、車両本体価格の一部または全額の支払いを選択できることにあります。
車にかかる自動車税・車検費用・オイル交換・タイヤなど消耗品の交換などは、別途自分で用意する必要があります。
よくCMなどで流れている「マイカーリース」や「カーリース」は、車にかかるメンテナンス費用や税金などもすべて月々の支払いに補う体系となっています。
料金体系は少し違いますが、支払い終了時の車両本体の買取保証額を残した算定方法は全く一緒です。
また、車検証上の所有者欄には、契約するクレジット会社が掲載され、使用者欄に契約者(つまり、あなた)が掲載されますので、車の持ち主はクレジット会社になります。
自己破産すれば、残クレで契約している車両は絶対に手放さないといけない?
通常、自己破産した場合の車の処分についてですが、車の買取金額が20万円超える場合、車を処分する必要があります。
これは自己破産による「換価処分」といいます。
自己破産を申請する場合、裁判所にあなたの財産を申告する必要があります。
その財産を現金化して、債権者に平等に分配することを「換価処分」といいます。
先述のように車両の価値が20万円を超える場合、換価処分の対象となり、車を処分する必要がありますが、20万円以下であれば車を処分する必要がありません。
しかし、車を残クレで乗っている場合、一見車を借りているだけという認識の人もいるので、利用料(月々の支払い)さえ支払えば乗れると勘違いする方もいますが、所有権がクレジット会社になりますので、基本的にはクレジット会社の担保となっています。
クレジット会社が車の所有権を持っている以上、今後のクレジットの支払いが見込めない状況(イコール自己破産)であれば、車は引き挙げられます。
よって、自己破産すれば、残クレで契約している車は没収されると考えておいてください。
残クレの車をどうしても手放したくない!どうすれば良いのか??
残クレで新車から乗っている車なので、どうしても手放したくないと考えた場合、間違えてはいけないのが、「自己破産するときに残クレの支払いだけを行うこと。」
これは「偏波弁済(へんぱべんさい)」といって、特定の支払いだけを優先して支払うことです。
この行為が裁判所にバレた場合は、自己破産の免責を受けられない、つまり借金がチャラにならない可能性が極めて高くなります。
偏波弁済にならないためには、代わりに残クレの支払いを行ってくれる第三者(親・兄弟・知人)などが残りの支払いをしてくれるなどです。
仮に頼れる人がいる場合は、弁護士などの専門家を通じて、クレジット会社と交渉してみるのが理想です。
クレジット会社としては、一切の支払いが無くなった状態で車だけを引き上げるよりも、決まった支払いを確実に行ってもらうほうが手続きも楽なので、前向きに話にのってくる可能性があります。
弁護士などの専門家を間に入れる理由としては、クレジット会社は、自分たちの借金の支払いを踏み倒す可能性のある人間(自己破産する人間)に対しては信用がないためで、第三者で信用できる人間に確実に弁済してもらう手続きを代行させるためです。
残クレの車は個人再生であれば、さらに残せる可能性が出てくる。
自己破産の場合であれば、基本的に車を手放すことが当たり前となり、第三者に頼る必要が出てきます。
もちろんですが、第三者に頼るということは、自己破産することがバレる可能性が非常に高くなります。
どうしても第三者にもバレずに行う場合は、「個人再生」という手段も一つの方法となります。
「個人再生」とは、自己破産のように借金を全額チャラにするわけではなく、元金や利息を減額して数年で完済する計画を立てて、債権者にもその計画を認められた場合に行う債務整理になります。
債権者の同意を得る必要があるため、自己破産よりも難しい手続きです。
ですが、残クレの車を残すために、個人再生の中に「別除権協定」「担保権消滅請求」など、2種類の方法があります。
別除権協定って何??
個人再生を行う場合、住む家が無くなってしまうことがないように住宅ローンだけは残すことは可能となります。
しかし、別除権協定を利用してクレジット会社と交渉した上で、裁判所に認められた場合には、残クレやローンを残した状態で個人再生することが可能です。
担保権消滅請求って何??
簡単にいうと、仕事などで利用している車は絶対に必要なので、車両残価分を一括で裁判所に納付して支払い、車の引き上げを勘弁してもらう措置です。
ただし、この場合は一括で車両残価分を支払うのである程度の資金力が必要です。
また、残クレの場合、支払期限分を支払っても車両本体の残価分が残っており、且つ所有権はクレジット会社なのであまり意味がありません。
ちなみに、個人再生の場合、「換価処分」がないため、分割払いやローンの支払いが終了した車は手放す必要はありません。
ただし、その分、元金や利息の減額率が減ってしまうこともありますので、専門家によく相談することをお勧めします。
まとめ
残クレで契約している車を残す方法を紹介してきました。
今や車は生活必需品といっても過言ではありませんが、一度自己破産した後に一括して車を購入することも可能です。
新車じゃなくても中古車でもメンテナンスさえしっかりしていれば、長年乗り続けることも可能です。
生活が困窮して自己破産を考えられているのであれば、専門家にまずは相談してみることをお勧めします。
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