勘違いが多い自己破産後の生活。老後の年金受給権について
日本は、ますます少子化が進み超高齢化社会に向かっています。
私達が老後を迎える頃には、3人の老人を1人の若者が支えるといった年金構造になる可能性も示唆されています。
一昔前までは、人生80年と言われていましたが、現在は平均寿命が徐々に上がってきており、女性では87歳、男性でも81歳を超えてきています。
長年、働き続けて定年を迎えて老後の年金受給生活者となっても、実に20年以上の人生が残されています。
こうして、老後の人生を踏み出す年代になると、年金受給が始まりますが、今まで一生懸命仕事をしてきた人は、毎日毎日働かなくてもいい生活になります。
趣味などに没頭できる人はとても有意義な生活を送っていけると思います!
しかし、中には仕事がなくなり、趣味もなく膨大な時間を持て余すようになってしまう高齢者は、やがて暇つぶしから、年金を使って、パチンコなどのギャンブルにハマる人も多数出てきます。
年金受給での生活なので、なんら咎められることも無いため、ストップをかけてくれる人もいないので、やがて丸一日パチンコ屋に居座る人も増えているようです。
支給される年金の範囲で遊んでいるうちは良いのですが、慢性的に負けが混んでくると、借金をしてでもパチンコに通うようになります。
こうなってしまうと、借金返済が困難になってしまい、債務不履行に陥ってしまい生活困窮者となってしまいます。
生活が困窮している人の救済措置が自己破産
あなたは自己破産という言葉から何を連想するでしょうか??
「破産」という単語のネガティヴな響きから、お先真っ暗の絶望的なイメージを思い浮かべるかもしれません。
しかし、自己破産の事実はその真逆で、経済的な再生を救済する制度です。
裁判所に自己破産の申し立てを行い、破産開始手続きで問題がなければ、免責許可決定を受けれますので、借金をチャラにできます。
絶望的どころか、債務超過に悩む人にとっては福音のような希望に満ちた救いの道です。
しかし、定年退職後の年金生活者の自己破産において気になるのが、
「自己破産すると、年金の受給がストップするのではないか?」ということです。
結論から言えば、「自己破産をしても、年金の受給がストップすることはありません。」
自己破産した後でも、年金の受給を受け続けることができます。
これは、『日本国憲法25条に定められている生存権の保証』をもとに、年金受給権が保護されているからです。
憲法で保障されている限り、自己破産した後でも、年金の受給は保証されているわけです。
但し、年金生活者が自己破産すると、不動産など一定額以上の財産を所有している場合は、手放さなければなりません。
債務整理のやり方もいろいろな方法がありますので、何が一番良いのかを判断するためには、専門家である弁護士などに相談して指示を仰いだ方が良いでしょう。
年金受給に関して気をつけなければならない4つの決まり!!
年金受給者が自己破産を選択しても、年金がストップされることはありませんが、一定額以上の財産は没収されてしまいます。
しかし、他にも気をつけなければならないことが4つあるのはご存知ですか?
この4つを守らずにいると、最悪年金受給がストップしたような状況になる可能性もあります。
しっかりと4つの決まり事を守って、年金受給がストップしないようにしましょう。
1.年金が振り込まれる口座は、凍結されないように確保する
年金生活者が自己破産者する場合、一番気をつけなければならない事項として、年金が入金される口座の問題です。
自己破産した場合、20万円以上の銀行口座は凍結されてしまいます。
年金がストップされることはなくても、年金が入金された後の口座の預金は、通常の預金として扱われるので、預金額に注意が必要です。
仮に年金口座に指定している口座がストップされてしまうと、破産手続き中は預金の引き出しができなくなってしまいます!!
年金受給は銀行口座が基本なので特に気をつけなければなりません。
2.年金担保融資のビジネスには特に気をつける!!
近年増えている老後の年金受給者をターゲットにした融資があります。
それが、年金担保ローンや年金担保融資と呼ばれるものです。
公的年金を受給していれば、年金を担保にして、誰でも借り入れができます。
だからこそ、『比較的だましやすい』老後の利用が多いので、詐欺の温床になっていた時期もありました。
現在は、詐欺を未然に防ぐために取扱窓口である金融機関も怪しい人物と一緒ではないか?本人に借りる意思があるかの確認など、しっかりとしたサポートを行っています。
しかし、こうした詐欺が根絶したわけではないので注意が必要です。
3.年金の支払い期間の確認や、支払い免除の手続き!!
年金受給者(年金受給資格がある人)であれば、特に気にする必要もありません。
年金を受給するためには、年金受給資格を得る必要があります。
年金受給資格は老後までに25年以上年金保険料を支払い続けている必要があります。
25年に満たない場合は、老後に年金を受け取ることは出来ません。
自己破産を検討する人は、年金保険料を滞納している人が大半なので、老後に年金を受給できなくなってしまう可能性もあります。
老後、年金が受け取れない生活になってしまうと、老後破産の可能性も増えてしまいますし、なにしろ生活が困窮してしまうので、注意が必要です。
年金保険を滞納している人は保険料の免除手続きを早期に実施する必要があります。
4.個人年金は保険等と同様なので自己破産すれば処分対象になる!
『年金』という名が付いていますが、正式名称は『個人年金保険』です。
年金が支払われるのは、老後には変わりないですが、積立型の保険の一種になります。
よって、自己破産した場合は処分対象になるので、自己破産前に解約するなどの処置が必要です。
以上が、気をつけなければならない4つのことになります。
老後である場合も、そうでない場合も気をつけなければならないことが多くあります。
差押え・処分が禁止されている公的年金
老後の年金生活者が自己破産を申し立てる際に、躊躇する誤解として、
「自己破産すると、年金が差し押さえを食らう」
というものもありますが、これも間違いです。
主に自営業や主婦、学生などが加入する『国民年金』、主に民間企業のサラリーマンが加入する『厚生年金』、主に公務員が加入する『共済年金』などは法律で、公的年金は年金の受給権を差し押さえることを禁止されています。
具体的には、「年金の受給権の他人への譲渡の禁止」および「年金の受給権の担保としての提供」、さらに「年金の受給権の差し押さえの禁止」を、それぞれの年金における法律に規定されています。
老後の生活は、法律で制定されているので年金を保護する法律もきちんと整備されていますので安心ですね。
また、任意で加入できる「国民年金基金」・「厚生年金基金」・「確定給付企業年金」・「確定拠出年金」・「日本版401K」なども差押えが禁止されていますので、自己破産をしても大丈夫です。
気をつけ無ければならないこととして、あくまで公的年金の場合であって、民間保険会社などの個人年金に加入しているケースは例外となるので、確認が必要です。
まとめ
以上、自己破産と老後の年金の関係性について考察してきました。
昨今、「老後破産」という嫌な言葉をよく耳にします。
老後になって年金をもらっていても生活が困窮し、特に贅沢をしているわけでもないのに生活していけなくなるという、なんともやりきれない状態にこの国はあります。
65歳以上の高齢者の実に10人に1人は、既に老後破産の状態にあると言われ、今後は年々その割合は上がっていくと予測されているのです。
このような時代にあって、老後と言えど、自分の身は自分で守らなければ生き抜いていけない世知辛い世の中です。
あなたの老後はどうなっているのでしょうか?
年金生活者になっていて、何らかの事情によって債務整理の必要性があるのであれば、専門家に相談してみるのがいいかもしれません。
ケースによっては、債務整理の方法として、自己破産を選択するよりも、任意整理や、個人再生などのケースもあります。
そのあたりは、専門家である弁護士に率直に相談して、あなたにとってベストとなる方法を教授してもらうのが最善でしょう。