東京での自己破産は注意が必要!!
日本において東京という大都市は、心臓であり頭脳であり、肝である首都です。
政治経済文化すべてが東京に一極集中している歪な構造を国家が取りつづけているために、ビジネスも東京に行かなければ成立しないケースが多々あるのが日本の遅れに繋がっている現状です。
そういう構造上、大阪や名古屋や福岡などといった東京に準するような大都市からも多くのビジネスマンが東京に単身赴任などの長期滞在をしています。
こういった人々が、様々な事情から借金を重ねて、やがて債務超過に陥ってしまい、自力では借金返済が不可能な状態になってしまった時はどうするでしょうか?
多くの場合には、自力での借金返済を断念して、なんとか法的な救済措置を摸索するでしょう。
その代表的な方策が自己破産でしょう。
自己破産は、法的な借金問題の解決方法である債務整理の中でも最終手段と呼ばれる強力な手段です。
何故、強力かといえば、免責許可を受けることができるからです。
免責許可というのは、ざっくりいえば合法的に今ある借金すべてをチャラにすることができる多重債務者の救済措置です。
なので、借金地獄でにっちもさっちもいかなくなった多重債務者は、自己破産を申し立てるのが普通なのです。
で、本題に移りますが、このような債務超過に陥った人が、上で述べたような大阪やその他の地域から東京に赴任してきたビジネスマンであった場合-。
この大阪から来た債務者は、赴任先である東京の東京地裁に自己破産を申し立てるべきでしょうか?
それとも、地元大阪の大阪地裁に自己破産を申し立てるべきでしょうか?
東京地方裁判所で自己破産手続きを進めるか、もしくは大阪などの住民票のある地元の地方裁判所で自己破産手続きを進めるか、では大きく違ってきます。
ここでは、こういった問題を中心に東京地方裁判所に自己破産を申請する際の注意点などを以下に考察していきたいと思います。
審査基準の緩かった時代の東京地方裁判所における自己破産申請
触りでも述べた通り、東京は政治経済文化の中心であり、極端な一極集中の副産物である「東京を経由しなければ事がスムースに運ばない」という事象はとりわけビジネスにおいて大きな弊害化しています。
そのおかげで、大阪や名古屋、福岡などといった東京に準じるクラスの大都市圏のビジネスマンも東京に長期滞在を余儀なくされているケースは少なくありません。
そういったビジネスマンたちが何らかの事情により債務超過状態に陥ってしまった場合には、自己破産を検討します。
そして、以前であれば、こういった債務者は、住民票のある大阪などの地元ではなく、赴任地の東京地方裁判所に自己破産の申請を行うのが普通でした。
それはなぜか?といえば、その方が債務者にとって都合がよくメリットが大きかったからです。
まず、その自己破産の申請に当たっての受付審査基準が、以前(正確には平成27年5月1日以前)の東京地方裁判所では、非常に甘く広く門戸を開放していたのです。
具体的には、本来管轄地域ではない東京都周辺の神奈川県、埼玉県、千葉県に住んでいる債務者が東京地方裁判所に自己破産を申請してきてもこれを受け入れていました。
更に、大阪や名古屋などに住民票を置いたまま、単身赴任などで東京に長期滞在している債務者に関しても、東京地方裁判所に自己破産を申し立てれば基本的に受け入れていたのです。
このことは、自己破産の申立人たちにとっても非常に便利で助かることでした。
なぜなら、大阪など他の大都市から東京に仕事で赴任してきているビジネスマンの多くは、勤務地や仕事場が丸の内などの都心部だからです。
その点、都心部の霞が関に所在している東京地方裁判所であれば、アクセスが便利で忙しい仕事の合間でも自己破産手続きをスムースに進めることが可能なのです。
これでは、住民票のある大阪などの地元の地方裁判所にわざわざ自己破産申請をするより、東京地方裁判所で自己破産した方が遥かに使える!ってことになっちゃいますよね。
そのせいもあってか、以前は東京地方裁判所で自己破産する件数が異常に多く、人口千人当たりの破産件数も全国平均を大きく上回るものでした。
審査基準が大幅に厳しくなった現代の東京地方裁判所における自己破産申請
こういった東京に住む人以外におおいに都合が良かった東京地方裁判所における自己破産申請の受付審査基準が大きく変わる地点がやってきました。
それが、平成27年5月1日です。
東京地方裁判所発行の案内文によれば、次のように改定されたのです。
平成27年5月1日以降に申し立てられた自己破産申請については、神奈川県・埼玉県・千葉県の東京都周辺3県に住民票上の住所がある債務者からの申請を含めて改めて厳しく審査するというものです。
つまり、東京地方裁判所において自己破産手続きを進めることが「相当であるか?否か?」を丁寧に厳密に審査するという旨です。
これは、周辺3県のみならず、当然のことながら、仕事で東京に滞在しているが住民票は大阪などの他地域にあるままのビジネスマンにも該当します。
これに加えて、破産申立書の書式が改定されて、以下の項目が追加されました。
管轄に関する意見
◇住民票上の住所が東京都にあること。
◇大規模事件管轄または関連事件管轄がある。勤務先の所在地
◇経済生活の本拠が東京都にある。
◇東京地裁に管轄を認めるべきその他の事情がある。
こういった具合に、それ以前と比べると大幅に自己破産申請の受付審査基準が厳しくなっています。
大阪地裁など地元の地方裁判所で自己破産手続きを!
このように平成27年5月1日を境として、東京地方裁判所における自己破産申請を受理する審査基準のハードルは一気に上がりました。
結論から言えば、現代においては、大阪などから東京に赴任しているビジネスマンが自己破産を申請する場合には東京地方裁判所に申し立てるのはリスクが高いでしょう。
東京に住民票の無い債務者は「相当でない」と判断される可能性が高いからです。
なので、このようなケースに当てはまる債務者の場合、大阪に住民票があれば、大阪地方裁判所に自己破産申請を行うのが妥当で最もスムースに事が運ぶと思います。
また、この場合、大阪地方裁判所での自己破産の運用のやり方は、東京地方裁判所での自己破産の運用とは微妙に違う場合も多いので、地元の運用のやり方に対応すべきです。
具体的には、大阪地裁に自己破産の申し立てをするなら、その道に明るい大阪の法律事務所に自己破産の依頼をするのが最も賢明な方策でしょう。
過去にいくつも自己破産案件の実績のある弁護士や司法書士などのいる大阪の法律事務所にまずは相談してみるのが良いと思います。
まとめ
主に東京地方裁判所における、以前と現在の自己破産申請の注意点の違いを考えてきました。
結論は、東京都周辺3県居住者はもちろん、大阪など地方都市から東京に赴任しているビジネスマンも、今は、自己破産を申請するなら住民票のある地元の裁判所が妥当だということです。
まずは、地元にあって自己破産関連の実績の豊富な法律事務所に相談してみるのがベストでしょう。
多くの法律事務所は、借金問題の無料相談を行っているので、調べてみて、それを利用してみるのが良いと思います。
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