自己破産申請前の注意事項!給与の未払いがある人は要注意!!
多重債務に陥ってしまう人には様々な経済的事情や理由がありますが、その中でも、キチンと働いているのに生活苦から借金を重ねて債務超過になってしまう人も結構存在します。
このようなケースでは、たいていは勤務先の会社に問題があったり、雇用形態(契約形態)に問題があるというのがほとんどです。
まず、雇用形態(契約形態)の問題としては、非正規雇用の拡大が挙げられます。
つまり、派遣などの契約形態では、目いっぱい働いても賃金は安いままに抑えられ、昇給のほとんど望めなく、加えて雇用する側の都合でいつでも解雇できるという問題があります。
勤務先側(会社側)の問題としては、いわゆるブラック企業やブラック労働といわれるような職場で、拘束時間は長く労働力だけ搾取される割に、賃金は安く抑えられ残業代も出ない、などがあります。
こういった不幸な職場で働くことを余儀なくされている人々は、特に無駄遣いや浪費をしなくても、毎月、慢性的に支払いが苦しく、そのために生活苦から少しずつ借金を重ねるというサイクルが出来上がります。
このような悪循環が慢性化すると、借金は積もり積もって債務超過に陥り、やがて、借金地獄でクビが回らなくなってきます。
こうなると、もうこの泥沼から脱するためには、債務整理の最終手段と言われる自己破産を選択するより他に選択肢は無くなってくるわけです。
自己破産は、それが成立すれば、問題が無い限りは同時に免責許可決定を受けることができ、借金をチャラにできるからです。
ところが、このようなブラックな会社に勤務していて、自己破産を裁判所に申し立てする人が特に気をつけなくてはならない点があります。
それが、給与の未払いがある場合、です。
自己破産の申し立てを行う場合、裁判所に破産申立書や添付書類を提出しなくてはなりません。
この書類に、財産等の資産目録という項目があるのですが、財産(資産)のある人はすべての財産を記入しなくてはいけません。
自己破産を申し立てるほど経済的に困窮した人ですから、ほとんどの人は、財産(資産)などない場合がほとんどです。
このような特に財産の無い人は、同時廃止事件という扱いで、特に財産の処分や配当もなく終了したという体で、破産手続きが始まります。
それ以外の、持ち家や不動産、20万円をこえるような預貯金や金融資産、保険などを所有している人の場合には、裁判所が破産管財人を選任して管財事件としては破産手続きを開始します。
管財事件の場合には、換価処分できる財産(資産)を没収して処分し、その上で債権者に配当(分配)するというプロセスが主となります。
ブラック企業に勤める人が自己破産を申し立てる際に気を付けなくてはいけない点は、「給与の未払い分がないか?」という点です。
自己破産の申立人に、給与の未払い分があると判明した場合には、裁判所は未払い分の給与を財産(資産)と見なします。
「会社に支払われ受け取る権利があるのに、未だに受け取っていないお金」と判断されるわけです。
ですから、この場合、裁判所は破産管財人を選任し、未払い給与の請求権を持って、会社に対して未払い給与の差し押さえを行います。
つまり、会社に自己破産の申し立てがバレてしまうというわけです。
以下に、これらについての考察を述べていこうと思います。
実体験に基づいた給与未払いの実態
昨今ブラック企業、ブラック労働と呼ばれる酷い有様の職場は多いことが社会問題にもなっていますよね。
ネットなどを見れば、実際のそういった酷い会社の実態がたくさん転がっています。
その中でも多い実体験として挙げられているケースとして、「給与を分割にして、未払いが続いている会社」というものが散見されます。
その手口も色々であり、給与を少なく申告する目的で、2つの会社から給与を支払っていることにしたり、意図的にしかも頻繁に給与の支給日を変更したりと呆れるものが多いです。
更に、ボーナスや特別賞与は出すという名目を謳っておきながら、実態は、分割払いにして、半分以上を未払いにし、その残りも半年以上遅れて支給したりといった足元を見た経営側の横暴がまかり通っているようです。
再三述べているように、自己破産を申立てた際に、給与の未払いがあったなら管財事件に振り分けられてしまいます。
管財事件は、同時廃止事件と比べると、時間も費用も全然余分にかかってしまうのです。
その上、給与未払いがあれば、裁判所は請求権をを持って会社に請求しますから、自己破産を申し立てたことが会社にもバレてしまいます。
ましてや、そのようなブラックな会社です。
本来、会社は自己破産したという理由だけでは解雇することは禁じられていますが、このようなブラックな会社では渡りに舟とばかりに、解雇するでしょう。
ですから、破産申立人である労働者の方も、目には目をの精神で自衛することをまず心がけるべきです。
自己破産申請時に給与の未払いがあると処分されてしまう可能性も!!
前述の通り、破産申立人が会社に未払い給与がある場合には、破産手続きは管財事件として振り分けられてしまいます。
破産管財人は、未払いの給与を差し押さえるべく、会社に連絡するので、自己破産を申し立てたことが会社にもバレてしまいます。
しかも未払いの給与は、破産申立人が汗水たらして働いた正当な賃金であるにも関わらず、給与が20万円を超える場合には、破産申立人本人には一度も入ってくること無く没収されしまうわけです。
このようなブラックな会社に働いている場合には、先回りして対応をしていく必要があります。
給与の未払いという行為は、労働基準法第24条に違反する完全な違法行為である、ということを覚えておきましょう!
会社に未払いの給与がある場合には、かなり強気で談判して支払わせるようにしてもいいと思います。
違法行為なのですから、法廷で争うことも辞さない姿勢で交渉すれば、会社側も呑まざるを得ないでしょう。
債務者だけが丸損するような事態だけは絶対に回避するべきです。
法律的には解雇できないが居づらくなって自ら会社をやめる場合も
このようなブラックな会社に勤務している場合には、自己破産後は、転職するぐらいの覚悟を決めておいた方が良いかもしれません。
自己破産したことだけを理由に会社が従業員を解雇することは、法律的には禁止されています。
とはいえ、仮に解雇されなかったとしても、そのようなモラルの低いブラックな会社では、様々な嫌がらせや配置換えなどで、従業員を居づらくさせるような事態は十分考えられます。
そのような劣悪な環境で働き続けるよりは、これを機会に、転職して新しい環境で心機一転して0から再スタートを切った方が、精神衛生的にも良いと思います。
まとめ
以上、給与未払いなどをするたちの悪いブラック企業の類にお勤めされている場合、自己破産の申し立てに際してどのようなことに気を付けていれば良いか?などについて考察してきました。
結局、そもそも論として、働いているのに自己破産しなきゃいけないところまで追い込まれてしまうのは、今現在勤務している会社に問題が大アリな可能性もあるわけです。
なので、これを逆に天から与えられた契機ぐらいに捉えて、自己破産と同時に転職して新生活をやり直す、ぐらいの意気込みでいれば良いと思います。
そうやって前向きに生活を建て直していくことが必要ではないでしょうか?